こんにちは、テルミーてる子です。
コールセンターへの就職を考えている方は、
よく聞くAIでコールセンターがなくなるのか気になりますよね。
現在コールセンターで働いている方は
なくなったらどうしようと不安になっている方もいるのではないでしょうか。
私がコールセンターで働いていたときに、面談でよく
「AIによって今後この仕事はなくなるんですか?」
と聞かれました。
AIが導入されてもコールセンターはまだ安泰です。
実際に私が働いていたコールセンターでもAIを導入しました。
今回は、実体験をもとにコールセンターにAIが導入されても仕事がなくならない3つの理由や今後の展望を解説していきます。
他にも導入したことで、もたらされた良い影響と悪い影響も解説していきます。
・2社のコールセンターで計12年勤務
・アウトバウンド(発信)、インバウンド(受信)、チャット
・OP、LD、SV、マネージャー経験済
・採用や面談含め、コールセンターの業務は全て経験済
・コールセンターで働いた方々とは今も交流し、常に情報収集
この記事に書かれている内容
コールセンターのAI導入で仕事はなくなる?安泰な3つの理由と今後の展望
情報収集や自動音声、音声認識など幅広い活躍をしてくれるAI。
AIがコールセンターに導入されることで今後クビになるのではないかと不安になる方も多いでしょう。
しかし、AIが導入されてもコールセンターで働く方は安泰です。
この章では、安泰な3つの理由と今後の展望について解説していきます。
まずは安泰な3つの理由がこちら。
コールセンターにAIが導入されても安泰な理由
- AIは基本的なことしか対応できない
- AIはお客様が求める寄り添いや共感ができない
- コールセンターは慢性的な人員不足で悩んでいる
順番に見ていきましょう。
AIは基本的なことしか対応ができない
コールセンターのオペレーターと同じ役割をしてくれる自動音声。
しかし、この自動音声は基本的なことしか対応できません。
基本的なこととは、
マニュアルに書かれている内容です。
特定の問い合わせに対する回答だけで済むと、自動音声は大活躍します。
実際にAIを導入することで入電数や対応時間の削減に成功したコールセンターも。
しかし、お客様からの問い合わせはその範囲を超えます。
お客様からいただく問い合わせの内容は幅広く、
・マニュアルに書かれていることを組み合わせて案内する
・マニュアルに書かれていないことを案内する
ことの方が多いです。
マニュアルに書かれていることだけで電話が終わることは少ないくらい。
例えば、電話で注文ができる「テルミーてるこMAX」というマッサージ機があるとしましょう。
これまで「テルミーてるこMAX」に関する電話での問い合わせは1日100件ほど。
100件の内訳は下の通り。
①「テルミーてるこMAX」の注文 → 30件
②「テルミーてるこMAX」の注文と商品の効き目に関する問い合わせ → 10件
③「テルミーてるこMAX」の使い方に関する問い合わせ → 30件
④「テルミーてるこMAX」が届かない等の発送日に関する問い合わせ →10件
⑤「テルミーてるこMAX」の返品・交換 → 10件
⑥「テルミーてるこMAX」へのクレーム → 10件
このうちAIで対応できるのは注文のみだとすると、②~⑥の70件はオペレーターがこれまで通り対応するようになります。
一次受けの役割を果たすことで一定の入電数や対応時間の削減ができる分、
より困っているお客様へのきめ細やかな対応が求められるようになります。
また、「テルミーてるこMAX」に関する電話での問い合わせは1日150件ほどあり、オペレーターの人数から実際に対応できるのが100件だと考えてみてください。
「テルミーてるこMAX」の注文30件をAIが対応してくれる分、オペレーターが30件対応できるように。
オペレーターの人数を変えずに、繋がらない件数を50件→20件に減らせることができます。
このように問い合わせの多いコールセンターの場合、オペレーターの仕事はAIが導入されても仕事量は変わらないのです。
AIはお客様が求める寄り添いや共感ができない
入電数に対しての応答件数向上や、対応時間削減の
いわゆる生産性に対しては効果を発揮するAI。
しかし、自動音声での対応は、困っているお客様を安心させられるような対応はできません。
先ほどの「テルミーてる子MAX」を用いて、次のシチュエーションで考えてみましょう。
「テルミーてる子MAX」を注文したのに、実際に届いた商品は旧型の「テルミーてる子3号」。
注文と違う商品が届いたので、交換したくコールセンターに電話。
返品・交換の電話対応もAIが行うと想像してみてください。
このシチュエーションではお客様に非はありません。
このときコールセンター側から、
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。」
と丁寧な謝罪があると気持ちよく電話を終えられますよね。
しかしAIによって機械的に交換の手続きをされたらどうでしょう。
・間違えて送ったことに対する謝罪なし
・再度電話をする手間をかけさせたことに対する謝罪なし
AIの場合は、淡々と交換の処理だけがされていくのです。
あるいは機械的に「申し訳ありません。」の言葉はあるかもしれませんが、心はこもっていません。
お客様の立場からすればイラっとするでしょう。
イラっとまではしなくても、
「ずいぶんあっさり対応されるんだな。」
くらいは思われますよね。
このように、人間的な対応が求められるシチュエーションは多々あります。
もう1つ例をあげるので想像してみてください。
あなたはクレジットカードを失くしてしまいました。
「まずはカードを停止?再発行はどうすればいいの?あ~どうしよう・・・」と慌てながらもカード会社へ連絡することに。
このとき、
「クレジットカードを失くしてしまいました。もうどうしていいかわからないんです。まずカードを止めないといけないですよね?その後はどうすればいいですか?」
と困りながら問い合わせをしたときに、
「ではカードを停止します。カードの再発行はダイヤル1を・・・」
と機械的な対応をされたらどうでしょう。
不安な気持ちが拭えないままお客様は言われたとおりのことをすることに。
ここではまずお客様に安心していただくことが重要です。
「それは大変でしたね。」
「こちらで対応するのでご安心ください。」
などの共感や寄り添った一言があるとお客様に持ってもらえる印象がガラッと変わります。
人間的な対応はAIではできません。
お客様の声色や話し方から状況を察知して、心のこもった適切な言葉をかけられるのは私たち人間のみです。
AIが導入されても、コールセンターでは人間のオペレーターが必要なのです。
コールセンターは慢性的な人員不足で悩んでいる
どこのコールセンターも慢性的な人員不足で悩んでいます。
ただでさえイメージで敬遠されるコールセンター。
せっかく入社しても半数以上は早々に退職してしまうことも。
過去に働いていたコールセンターも入れ替わりが激しく、3年以上勤務している人は全体の3割ほどでした。
長く働いてくれる方は貴重な存在。
AIが導入されても人間的な対応を必要とされるコールセンターにとっては、人材確保が目下の課題なのです。
今後の展望
コールセンターへの入電数が少なくなると、
・一人一人のお客様とじっくり対応できる
・きめ細やかな対応でお客様の満足度を向上させられる
・お客様の電話の待ち時間を減らせる
といったメリットがあります。
今はまだ安泰ですがAIがより進化し、生産性も上がってきたら今後はどうなるでしょうか。
それでもコールセンターで働く人材は必要です。
コールセンターによっては、
電話対応する人数を減らし、メールやチャット対応をするメンバーに充てる
など、電話以外の業務を拡大していくところもあります。
前職がそうでした。
はじめは電話対応のみでしたが、電話での問い合わせを嫌がる方向けにメールやチャット対応を取り入れ始めたのです。
そこでコールセンターのオペレーターがメールやチャット対応にシフトする可能性は大いにあります。
人員にゆとりが出始めたところで担当業務を細かく分け、よりお客様に満足いただけるような対応をしていくことが理想ですが、中々うまくはいきません。
急速に発展していくのはAIだけでなく、世の中全てが激しく変化をしています。
それに伴い、コールセンターで案内するべきことや業務も増えていくからです。
先ほどから例として使っているマッサージ機「テルミーてる子MAX」で想像してみてください。
「テルミーてる子MAX」で使われている部品の一部が政府の取り決めで使用禁止になった。
よって、新しい部品で作られた「エターナルテルミーてる子」を販売することに。
こういった変化が起こるとお客様からは大量に問い合わせがきます。
元々あった問い合わせに加え、
・「テルミーてる子MAX」を利用しているお客様から、「エターナルテルミーてる子」に交換してもらえるのかという問い合わせ
・「エターナルテルミーてる子」の価格や効き目についての問い合わせ
・部品が使用禁止になった理由
といった問い合わせも増えていくのです。
以前働いていたコールセンターがAIを導入したときのこと。
上司から
「AIが急速に進化をしていくことでコールセンターが縮小したら、守られるのは管理者で働く方や正社員だよ。」
と言われました。
しかし、コールセンターの仕事自体はこれまでと変わらずありましたし、むしろオペレーターも管理者も仕事量はどんどん増えていきました。
次の章では、コールセンターにおけるAIについて解説していきます。
コールセンターのAIとは?
AIとよく言われますが、コールセンターでのAIはどんなものなのでしょうか。
前職でAIが導入されることに。
当時の私は知識が乏しく
AI=人型ロボットだと思っていました。
AIが導入される日に、
「え、ロボットはどこにいるんですか?」
と質問して上司に失笑された経験があります。
AIを導入=人型ロボットがやって来るわけではありません。
コールセンターで導入されているAIは主に3つ。
コールセンターで導入されているAI
- 音声認識
- 自動音声
- チャットボット
全ての機能が備わっているAIはないので、組み合わせて使います。
順番に見ていきましょう。
音声認識
AIでなくとも通話内容の録音は可能でしたが、通話内容を文字起こししてくれる機能があるのがAI。
通話内容の確認、人材育成において業務効率が向上します。
さらに録音した音声をもとに分析できるのもAIの特徴。
例えば、
・お客様が話している途中で案内をし始めた(被せ)回数
・話す速度
などの分析ができる他、通話中のクレーム検知も可能です。
前の職場で使っていたAIはチャット機能が付いていました。
クレーム対応をしているオペレーターさんに、どのような案内をすればいいかチャットで指示ができたのが使いやすかったです。
自動音声
電話で問い合わせをする際、
「〇〇に関するお問い合わせは1を、△△に関するお問い合わせは2を・・・」
とダイヤルしていくとオペレーターに繋がったという経験はありませんか。
この誘導をIVR(自動音声応答)と言います。
IVRをさらに進化したのがAIの自動音声。
問い合わせ内容によっては、全てAIで電話を終話させられるんです。
まだまだ基本的な問い合わせに限りますが、
コールセンター側が用意しているFAQに沿った問い合わせ内容であれば回答が可能。
AIで回答できなければオペレーターに転送してくれる機能もあります。
チャットボット
お客様からのチャットでの問い合わせに対し、自動的に返信してくれるのがチャットボット。
FAQをプログラミングし、お客様が入力したキーワードに基づいて回答してくれます。
過去のチャットでの対応履歴をもとに作られた文章で、自然な対話をすることも可能に。
営業時間外の対応として利用している会社もあれば、
チャットボットで解決できないものは電話での問い合わせを誘導といった一次受けの役割として利用している会社もあります。
コールセンターのAI導入は働く人にどんな影響を及ぼす?
前章で説明したコールセンターで導入されているAIは大きく分けて3つ。
コールセンターで導入されているAI
- 音声認識
- 自動音声
- チャットボット
これらは入電数の削減などコールセンターとしての生産性向上に大きく貢献してくれますが、働く人にどのような影響を及ぼすか気になりますよね。
主に音声認識のAIが、オペレーターや管理者に良い影響を与えてくれます。
音声認識は電話対応中に会話のやり取りを文字化してくれるので、オペレーターにとっては
・お客様に何度も聞き返すことなく、問い合わせ内容を確認できる
・終話する前に案内漏れなどがないかチェックできる
メリットがあります。
案内が終わった後も、
「あれ?〇〇について案内したかな?」
と不安になったときに、文字化した通話内容から確認が可能に。
管理者にとっては、
これまで録音された音源でオペレーターの案内漏れや誤案内を確認していたのが、文字で確認できるように。
「〇〇の案内漏れをしていないか。」のピンポイントを確認するのにその通話を全てチェックしないといけませんでした。
AIが導入されてからは文字で確認できるので、確認時間が5分の1に削減できたんです。
忙しい管理者にとって確認時間の短縮はとてもありがたい。
他にも、
・お客様が話している途中で案内をし始めた(被せ)回数
・話す速度
など応対品質に関する分析をAIがしてくれるので、
・音声を聞きながら数える時間が短縮
・応対品質向上の施策を考えやすい
・データに基づいたフィードバック
が可能に。
個人的にはAIを導入してから、
業務量こそ変わらないものの、短縮した時間を別の業務に充てられたので楽にはなりました。
まとめ
今回はコールセンターにAIが導入されたらコールセンターはなくなるのかについて解説してきました。
結論は、まだ安泰です。
安泰な理由は3つ。
コールセンターにAIが導入されても安泰な理由
- AIは基本的なことしか対応できない
- AIはお客様が求める寄り添いや共感ができない
- コールセンターは慢性的な人員不足で悩んでいる
AIが発展すると、今働いている方は別の業務に回る可能性もありますが、基本的にコールセンターの業務量は多いので仕事や求人がなくなることはないと言えるでしょう。
現在コールセンターで導入されているAIは主に3つ。
コールセンターで導入されているAI
- 音声認識
- 自動音声
- チャットボット
オペレーターにも管理者にも便利で良い影響を与えてくれます。
今コールセンターで働く方も、コールセンターへの転職を考えている方も仕事が無くなることはないので心配無用。
今後の働き方の参考になれば幸いです。
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▼読んでくださってありがとうございます